◆ 欧州「統一」緑の党の欧州議会選挙(2004年6月)マニフェスト


今本 秀爾(エコロ・ジャパン代表)


2004年6月1213日に拡大EU諸国の欧州議会選挙が実施された。
それに向けて欧州32カ国から構成され、現在13カ国に38名の欧州議会議員を擁する欧州緑の党連合(EFGP)が、

初めて統一団体として選挙キャンペーンを行った。
今回力を入れているのはまだ議席を持たない東欧諸国の緑の党であり、昨秋成立したポーランド緑の党

(Zieloni 2004)も含め、西側の緑の党の要人が次々と東欧に乗り込み、キャンペーンに熱を上げた。
さらに昨月(2003年2月)2022日にはイタリアのミラノで、イタリア緑の党主催の欧州緑の党

大会が開催された。今後彼らは6月の選挙に向けて熱い選挙戦を繰り広げていくことになる。
以下に昨年(2003年)118日にルクセンブルクで開催された第15回欧州緑の党幹事会
で採択された、本年の選挙用の「欧州緑の党マニフェスト2004」(総論)の内容を要約して紹介する。


<欧州緑の党・緑のマニフェスト2004・総論(抄訳)>

ヨーロッパが改善されるかどうかは、貴方の決断に懸かっている!
 
私たち緑は、EUおよび全ヨーロッパにおいて、平和、連帯、多様性の尊重、公正さを通じて、
持続可能で公正な未来のために必要な具体的提言を行うと同時に、民主主義的で環境に
配慮した独自の包括的な外交政策に向けて働きかける。
私たち緑は、エネルギーおよび交通政策の転換、原子力の廃止とよりクリーンで安全な代替
エネルギーとなる各種の再生可能なエネルギー化を追求する。
EU圏において、法の支配と地域住民や個人の権利が軍事・経済的支配に対して影響力を
及ぼすよう要求する。とともに欧州の新憲法の成立に向けて、政治の意思決定過程がより
説明責任、透明性、民主性および市民の政治的アクセス権を可能にするよう要求する。
緑の立場は、欧州憲法は公民投票によって批准されるべきだという主張を掲げる。
そのためには、市民のエンパワーメントおよび市民やNGOの政治参画が必要である。
さらに緑のビジョンは、不安定な国際情勢下において、EU連合を平和に貢献する主体と
なるべきことを要求する。

1.環境のセーフガード導入

われわれ緑はこの分野では次の2つの優先原則を設ける――1つ目は、すべての人に対する安全で、
健康でおいしい食品の提供である。これを達成するために、われわれ緑は共通農業政策(CAP)の
抜本的な改革を模索しつづける。消費者の権利、動物の権利が保護されねばならない。さらに食品の
輸送システムの監視、食品内容物の正しいラベル表示のチェック、遺伝子組み替え食品の禁止、
生産過程における化学産業への責任原則を徹底させる。
2
つ目の優先原則は、エネルギー政策の転換である。時代遅れと化した原子力保護のEURATOM
条約を廃止し、京都議定書に明記されているCO2削減の第一目標の達成に努めるためのあらゆる
方法を実践する。EU諸国が気候変動の分野において世界の先鋒となっているのは主に緑の政党の
働きかけの成果であり、われわれはこの立場をさらに強化していく。
われわれ緑は、さらに欧州気候安定化条約の制定を通じて京都議定書の実現に向けて働きかける。
このため交通輸送システムやエネルギー効率の改善、汚染の低減、所得税の軽減と環境税の強化を
めざす。
 
2.社会的次元の緑化

われわれ緑の主要目標は、ヨーロッパ市民およびEU圏の地域支援による、治安維持や経済保障を
通じての強いコミュニティと住みよいまちづくりであり、それを通じての欧州すべての連帯を呼びかける
ことである。
EU参加国間の税ダンピングは廃止されねばならない。緑の政治は効果的で基本的な公共サービスを
提供することであり、たとえばジェンダー政策、雇用政策、子育て支援、障害者への権利保護などを
通じて、労働におけるあらゆるバリアフリーを実践していくことである。
われわれ緑は、包括的な健康維持、ガスや水、電気の供給、高齢者への公正な年金支給、良質の
教育提供、労働の安全、ワークシェアリングやジョブシェアリング、十分な最低賃金の保証、公正な
労働条件など、健康で安全な労働のセーフガードの構築をめざす。
さらに緑は、安定した福祉制度、福祉国家の伝統の維持強化に努め、自発的連帯と市場経済の
統御を要求する。われわれ緑は、すべてを市場に任せる新自由主義的傾向を拒否する。
さらに緑は、地域基金を創設し、社会保障に努める。 
 
3.民主主義の育成 

民主主義の育成には市民の強いエンパワーメントが必要条件である。これはわれわれ緑のビジョン
の中核であり、われわれは市民権、人権、女性やマイノリティの権利の完全な保護を要求する。
統合にあたって、マイノリティの文化や多様性は尊重されねばならない。さらにわれわれは、市民社会
およびNGOによる参加民主主義に向けて働きかけ、欧州全体の市民権の拡大を要求する。
たとえば基本権憲章が完全に執行されるよう、あらゆる可能なイニシアチブを行う。さらに極右勢力や
非民主的ナショナリズムや暴力的な宗教運動の不寛容さは容認できない。
すべての市民が――性別、肌の色、障害、性指向、宗教、言語、出自、文化から自由であり、ともに
平等な市民権および政治的権利を獲得できるよう要求する。
法律上EU市民以外の市民も居住後5年以内に市民権を獲得できるようにすべきである。
さらに長期にわたり定住している移民にも同様の法律上の機会が与えられるべきである。
EUにおける越境犯罪との戦いは重要であるが、市民権を犠牲にした警察機構の強化は行われる
べきではない。
われわれ緑にとって、欧州の民主化はさらなる市民の連帯、透明性、説明責任、欧州議会の民主的
統御を意味する。それは権力の地域や都市への分散による分権化と、公民投票も含めた参加民主
主義の強化を意味する。このプロセスには公正で平等なメディアへのアクセスが重要な条件となる。

4.平和政策の強化

緑は、ヨーロッパが紛争の予防に努めるべきだと主張する。
欧州の緑は、マルチラテラリズム(多国協調主義外交)と非軍備化を支持する。
われわれは大量破壊兵器に反対するとともに、その脅威から自由であることを欲する。
われわれは大量破壊兵器の生産と拡散の防止に努める。
武器輸出は強力で拘束力のある査察の下に置かれるべきである。緑は地雷の生産と使用、
小型武器の輸送をストップするよう要求する。
われわれ緑は、つねに平和の理念の下で行動すべきことを主張する。
そのため、人権、民主主義、社会的・環境的価値を保護する自律した包括的な外交政策の
導入に向けて働きかける。たとえば紛争予防のための欧州平和機構を創設するよう促し、
そこで途上国がよりよい経済バランスを達成できるようたえず支援していく。 
平和政策は、紛争の仲裁、外交手段、早期紛争防止、文化の尊重、フェアトレードおよび
公正なエネルギー資源の配分、紛争後の復興支援などが優先されるべきだと、
緑の立場は主張する。
最後に、われわれ緑は、国連が地球規模の脅威に対処し、欧州政策との連携を促進させる
最良の機関であると考える。われわれ緑は、ヨーロッパ全体の行動が、国連の管理下に
おかれることを維持すべきである。
 
5.草の根のグローバリゼーションの促進

われわれ緑にとって、EUは既存の不公正なグローバリゼーションの改革と統御のための
重要な役割を果たすべき存在である。
EUは世銀やIMFなどの国際機構を改革させる任務を負っている。ヨーロッパは通貨制度の
改革を進める最先鋒とならねばならない。トービン税の導入は必要である。
われわれ緑は、環境的・社会的基準を貿易問題においても考慮すべきであると主張する。
したがって緑は、世界経済をより持続可能なものに再統御し、経済をより民主的な管理の
下におくよう要求する。
世界貿易との関連では、われわれ緑は企業の責任――企業に対する強力で拘束力のある
ルールを要求する。多国間のガバナンスにおいて、ヨーロッパは南北間の救援および
開発支援企業に対する大きな役割を負うべきである。
自由貿易のルールは食品および生活条件の質および零細農家の収入を保護すべきことを
考慮しなければならない。
われわれ緑は、地域・地方経済への参加、また地域や地方経済の参加をより考慮すべき
ことを主張する。たとえば国営放送や映画産業に、文化的多様性を喚起させるインセンティブ
を維持するよう働きかける。

6.緑の党の成果.

過去20年間、欧州議会における緑の会派は、重要な政治的・文化的方向性を生み出すことに
尽力してきた。来るべき欧州議会選挙の前に、欧州緑の党連盟(EFGP)のメンバーは、
ヨーロッパ統一緑の党を創立し、大きな共通目標に向かうべきことを決定した。
われわれはヨーロッパを緑化したい。それにはあなたの決断力が求められている!

 


(以上、今本秀爾 抄訳) 
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