JYG主催 サマーアカデミー2006 資料

日本の「環境政党」・失敗原因を分析する

 

政策ネットワーク「エコロ・ジャパン」編著

 

〔参考〕 日本の環境政党の歴史 (Wikipedia 他より転載・一部追加編集)



■ 戦略的「組織づくり」の不在(勝手連的組織)

     組織「経営」感覚の不在: 組織運営についての具体的計画がない(すべては選挙で当選してから考える) 

     「打ち上げ花火」的組織: 場当たり的な「寄せ集め」の人材、資金、政策・・・

  ・ 方法論・シナリオの不在: 何をどのように実現していくのか?プロセシングと具体的目標の不在。

  ・ 資金不足による解散: 会費の継続的徴収困難、一時カンパに全面的依存。  

 

■ 戦略的「選挙運動」の不在

  ・ 選挙「争点」からのずれ:有権者のニーズを無視(内輪だけの話題で盛り上がっている)

  ・ 特徴やキャリア、知名度のない無名の候補者の羅列(内輪だけの顔見知りで盛り上がっている)

・ 「見せる選挙」の不在:演出不足、貧乏(お金をかけない)選挙、マスコミの活用下手、

    次世代層、政治無関心層への「語りかけ」ができていない

⇒「政治」「政治団体」という言葉だけで怪しまれる、遠ざけられる

  ・ 政党組織としての「カラー」の創造・アピールに失敗(創意工夫のなさ) 

 

■ 海外モデル・理念のコピー

     崇高な「理念」と現実との乖離:

⇒ ボトムアップ・市民自治・草の根の「市民」民主主義の想定と固執     

 

       人材の「質」の問題

世代や経験・セクトの固定化(コアに旧「全学連」「全共闘」メンバーなどの「新左翼」系の運動家が多い) 

⇒ 世代・運動スタイルの固定化・「思いつき」で行動・確信犯的思考(コアスタッフの中に○○原理主義者が目立つ)

・「共感」のみ重視・体系的・戦略的思考の不在

    ⇒ 「仲良しサークル」への固定化(「烏合の衆」的集まり)

  ・ 「よりよい人材の活用」「新規コアメンバーの採用・抜擢」の欠如

    ⇒ 中心的人材や候補者の選別基準があいまい(能力ある人材の欠如、無差別に歓迎・受け容れ)

 

       エリート、権力に対する「アンチ」体質

・ 権力層にいるエリート階層(学者、官僚、トップ経営者・実業家)に対するルサンチマン。 

     つねに「反権力」の姿勢: 既成政党・内閣のやることや政策に対してすべて批判

⇒ 自己のアイデンティテイを維持、権力との妥協は「卑怯」「破廉恥」

 

       組織としての「恒常的活動」の不在

     恒常的活動や活動実績の不在 ⇒ 有権者に「選挙のためのにわか団体」とみなされ信用されない

 

       以上に対する「自己分析」「現状分析」と「改善」志向の不在 ⇒ 自己満足的集団化

 

 

 

【図表1】海外の環境政党(緑の党)との比較


 

欧州の環境政党

日本の環境政党

中心的人材

環境運動家、NGOが中心

新左翼運動、消費者保護運動などの担い手が中心

関心の傾向

国際的・グローバルなテーマへの関心が高い
(温暖化、貧困、貿易問題など)

特定地域の問題への関心が高い(公共事業誘致反対など

恒常的活動

NGOとの合同キャンペーン・テーマイベントへの主催、カフェやレストラン、バーでの座談会・討論会など

「OOに反対する」決起集会、デモへの参加、講演会・勉強会や声明アピールが中心

組織構成

10代〜30代の若者、女性の参加が多く、幅広い支持層から構成

団塊世代(50歳〜60代)が中心、高齢者中心で世代層が固定

組織運営

事務局を中心としたスタッフ体制、チーム運営体制が確立

勝手連型組織(恒常的運営体制が不在か弱小)

組織の目的

特定の政策を実現すること

(議員の割合は党員全体の

1割以下)

選挙で勝つこと(議員になること)=地域政党ではほぼ全員が議員をめざす

雰囲気

明るく派手な服装、イベントでの「演出」に創意工夫

地味でバンカラ(草の根市民であることをアピールするため)

資金調達手段

公的助成、出版物やグッズの販売、党費など

そのつどのカンパで集める

(年会費は徴収不足で赤字)





【図表2】組織(システム)維持のための4つの必要条件

Tarcott Persons の「AGIL」図式による)

 

適応条件(Adaptatiopn

 資本(人材、資金、情報)、

  ネットワークの獲得  

   機能的な組織体制の構築

目標達成Goal Attainment

= 政策の実現(立法化)に

向けてのロビイング活動、

各種キャンペーン、広報活動

 



 

潜在的パターンの維持

(Latent

pattern maintenance)

=研修・合宿や勉強会の実施、  

協働プロジェクトの展開に

よるメンバー間の連帯強化  

 

 

統合(Integration) =

定款(運営ルール)

基本行動計画(綱領)、

マニフェストの完成、

アジェンダ(行動計画)の策定

 

 

 

 

【補論】日本における「環境政党」成功のための条件

 

 ■ 戦略的「組織づくり」の推進(機能的組織の実現)

・ 組織的「経営」感覚の適用、段階的ステップアップ計画の策定

・ 基本資材(人材、資金、ノウハウ)の「恒常的」獲得と整備

  ・ 目標実現のための方法論(5W1H)の具体的スケジュールの策定

  ・ 支持層のターゲットを絞り込む(主婦、学生、若年世帯、エコロジストなど)  

  ・ 特定の地域(選挙区)に的を絞り、地域の環境意識の啓発(地盤づくり)に努める

  ・ 短期的・中・長期的ヴィジョンを策定し、実践に移す

・ 組織の「統一カラー」を鮮明に出し、「ブランド化」をめざす(プロ集団、スペシャリスト集団であることをアピール)

・ 組織のチーム体制と役割分担(広報、資金運営、ネットワーク、調査研究、法律、人材育成)を確立する

  ・ 独自の政策立案能力を持つようなシンクタンク組織としての「政党」をめざす 

  ・ 議員活動と政党組織運営活動の担当者を区別する(ひとりで両立は非常に困難)

  

 ■ 戦略的「選挙運動」の実施

  ・ わかりやすい「争点」のアピール:有権者のニーズへの対応、マスコミへのアピール

  ・ 個性やキャリア、当該専門分野で信用・知名度のある候補者の擁立

  ・ 「見せる選挙」の活用:遠慮のない資金投資、メディア・ITの活用

 

  人材の「質」の向上と「政治」のイメージ刷新

  ・ つねに「新たな有能な人材の獲得」をめざす、門戸開放。 

⇒「よりよい人材の活用」「新規メンバーの積極的採用・抜擢」(エリートを毛嫌い、敵視しない

     コアメンバーの選定基準を明確にする(共感できるからといって誰でも無差別に受け容れない

  ・ 若者や女性が参加しやすいような雰囲気づくり、組織づくり、広報に努める ⇒ 既成政党・政治団体との差別化を図る

  ・ トンデモ・グリーンズ(原理主義者)の排除 ⇒ コアスタッフの敷居の高さを設定 

 

 ■ エリート、権力への活用+積極的参画

・ エリート階層(学者、官僚、経営者など)を重宝し、人材資源として活用する(エリートを毛嫌い、敵視しない)。 

「反権力」ではなく「権力」への参画をめざす:「反対」ではなく政策への参画と「提言」。 

⇒ 政治に「妥協」はつきもの。「政権担当与党」に参画・協力し、少しでも主張・政策の反映と実現をめざす。

  ・企業・営利活動を毛嫌いしない。⇒「政治献金」を厭わない(資金獲得手段)

 

 ■ 組織としての「恒常的活動」の推進

・ キャンペーン、イベント、セミナー(政策研究会)、共同事業の運営など。

 ⇒ 普段から他のさまざまなステークホルダーとのネットワークを拡大。

 

 ■ 日本の政治風土や現状にあった戦略の採用

・ 現実的思考をベースに、「最大効率」「最短距離」での目標達成(ボトムアップでは無理) 

⇒「草の根市民」主義的理想論からの脱却と、「トップダウン」モデルによる目標実現へ   

 

 ■ 以上に対する「自己分析」「現状分析」と「改善」志向をもつ 

⇒ アンケートによる市場調査、組織へのフィードバック、コア人材の転換と役割分担の徹底化

   

 

以上