<エコロ・ジャパンによる 来日VIP講演報告>
レベッカ・ハームス氏
(欧州議会議員・緑の党/欧州自由同盟 議員団副代表) 講演録要旨
2007年8月5日 於広島・県勤労福祉会館(カレントコスモ)にて
レベッカ・ハームス(Rebecca Harms MEP)
欧州議会議員(ドイツ緑の党/同盟90)、同議会緑の党/欧州自由同盟(Greens/EFA)議員団副代表。
造園師から、近隣住民として核廃棄物処分場建設反対運動に参加し、その後政治家に転進する。
1984年より友人のウンディーネ・ヴォン・ブロットニツ欧州議会議員(緑の党)の秘書を勤める。
1994年ニーダーザクセン州議会議員に当選。1998年同州緑の党議員団団長に選出される。
2004年に欧州議会議員に選出。核問題・エネルギー政策担当。
今回は第62回原水禁世界大会(広島・長崎)に参加・講演のために初来日。
◆ホームページ: http://www.rebecca-harms.de/index.php
【講演要旨】
日本は産業先進国として温室効果ガス削減、エネルギー転換を近隣諸国や他国に貢献する責任を担っている。
私と核問題との出逢いは、1977年のドイツ・ゴアレーベンの放射性廃棄物貯蔵施設の反対運動に参加したのが
きっかけだった。その後市民の抵抗運動は原子力の利用自体への拒否へと向かった。
チェルノブイリ事故20周年を記念した各紙報道記事によれば、死亡者数は6万人から10万人で数十万人が病気。
科学者の追検証なし。現在ヨーロッパではフィンランドの1基(オルキルオト原発)のみが新設されている
EUではエネルギー戦略が各国の情勢によって異なるため統一シナリオが不在。原発存続、段階的廃止、原発が
不在と各国により事情が異なる。EU全体の原子力運営はEURATOM(欧州原子力共同体)が掌握しており、
欧州議会や委員会のEURATOMに対するコントロールが利かない。さらにごく一部の電力会社によるロビー
活動が幅を利かせている。欧州の核管理基準(INES)による評価尺度は欺瞞に満ちている。
近年の原発事故は「非原子炉部分」での事故発生が多数報告されているが、これはけっして安全を意味しない。
炉心溶融(メルトダウン)に至り得る危険性はいくらでもあった。たとえば2006年スウェーデンのフォルスマルク
原発事故。7分遅れていたらチェルノブイリ級の惨事に至るところであった。イギリスのセラフィールド原発事故。
そして今年2007年ドイツのクリュンメル原発の変圧器火災事故。チェコ国境のテメリン原発など。
そして今回の日本の「柏崎刈羽原発」の震災被害。
原発の大きな問題性は次の3点になる。一点目は放射性廃棄物の処理問題。二点目は原子力技術を利用した核拡散の
危険性。三点目は原発事故および残留リスクの問題である。
現在原発は世界で436基が稼動。しかし欧州では最終エネルギー全体の6%、世界全体では最終エネルギー消費の
2%をシェアしているに過ぎない。世界の原発は平均23年間稼動しており、今後廃炉の割合がますます増えるだけで
将来性が薄い。世界で建設中は32基。うち10基は工事ストップ。
欧州緑の党では「ストップ温暖化キャンペーン」「欧州核フリーゾーン運動」などのアクションを実施。
私たち緑の党の反原子力政策は「ダブルトラック戦略」と呼ばれるものであり、欧州緑の党の「ビジョンシナリオ」
とともに、原子力のリスクと環境面(温暖化)リスクとの両方の視点を含意し、リスク情報の公開、代替エネルギー
の普及を同時に拡大させることを提唱している。
緑の党の「ビジョンシナリオ」では、EU全体で2030年に85%原子力エネルギーを削減すると同時に、
EU全体で再生可能エネルギーの割合を39%にまで高めることが可能になるとしている。
さらにEU全体で2030年までに20%の温室効果ガス削減目標が提唱されたが、緑の党は30%を主張している。
これらを達成するためには、次のような政策を同時進行的に推進することが必要である。
たとえばエネルギー効率の推進。住宅・家電製品などの厳しい省エネ基準の設定。公共交通機関の充実。輸送総量削減。
再生可能エネルギーの割合を抜本的に高めること。コジェネレーションやバイオマスなどのエネルギーインフラ
への投資拡大。効果的な政策措置としての国内排出量取引制度の発展。炭素回収・貯蔵技術の改良などが重要である。
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