グリーン・マニフェスト・キャンペーン2007

コメント&講評一覧

 

 

 

■候補者の「政策公約」(マニフェスト)についての講評&コメント

 

<データ集計作業スタッフの意見より抜粋>

 

・議会質問では温暖化(京都議定書対策)、食の安全、アスベスト、BSE、食育、農林保護政策など、当時話題性のあった項目が際立っていた。

・専門的で詳細な議会質問はほとんど少なかった。

・これまでのキャリアから、本格的に在野で環境活動に取り組んできた候補者がほとんど存在していない。これは課題である。

・結果的に党派を問わず、環境問題に熱心な候補者とそうでない候補者との歴然とした差がはっきり見られた。

・候補者全体の男女比に比して、環境問題に関しては女性候補者が大健闘している。上位ランキングベスト10の中で3人、ベスト30のうち9名が女性。

・現職と新人候補では圧倒的に現職有利という結果になった。新人候補についてはブログや日記ではなく、もっと自分の主張や実績をアピールする必要性があるのでは。

・おそらくメディアが取り上げるので重要なテーマのひとつだという問題意識レベルの候補者や議員が多く、現実的にも票になるテーマではないという判断から、

 あるいは基本的には政党の政策方針にすべて従うからという理由で、環境政策を大々的に取り上げないのではないか。

・農林業問題を取り上げているのは地方出身の候補者がその大半。

 ただし「農林水産業振興」や「食糧自給率の向上」とあるだけで、その詳しい具体的な対策手法については触れられているものがなかった。

 

・ホームページは、有権者に対する自分自身の政策・主張の具体性を伝えようとする(5W1Hに対する)工夫がない、配慮が感じられない。

・美辞麗句で「中身や具体性、実効性のない」文言の羅列にとどまっているものが大半。

・抽象的なスローガンやイメージだけに訴えている文言が今回も多い。これでは有権者にとって投票判断材料にはできない。

・実質的数値や達成期間、議員となってからの取組みや達成へのプロセスといった具体的項目が示されていない。

・ホームページから、これまでの活動成果や取り組みがわかりにくい。もっと実績や活動成果を自己PRしてもよいのではないか。

・「地元地域の環境保全」に触れている候補者は結構存在したが、「地球規模での環境保全」を政策公約に掲げた候補者は存在しなかった。

・今後国政に携わろうとするのだから、グローバルな視点での環境保護や環境政策を率先して提唱する、いった積極的な姿勢を打ち出してほしかった。

・政策公約があれもこれもテンコ盛りで羅列されており、個人の力ではとてもすべて達成できないと思われる政策公約を羅列している候補者も複数いた。

・問題は議員活動として具体的に何をどのように中心的に取り組むのかをターゲットを絞って論理的に説明されているか。

・せいぜい参議院生活の6年間で達成可能な公約は2〜3項目が妥当なところ。1年につき1項目としても6項目程度でしかない。

・時系列的に年次ごとの「公約達成目標」があればわかりやすい。

・「公約」として主張したい項目以外は議案に対する賛成、反対の立場だけを明確に表明すればよいのではないか。

・「公約」と書いた以上は守らなければ本来はペナルティものである。政治活動に罰則規定がないのが残念。

・自分自身の公約や政策・政治的指針や実績を掲載せず、プロフィールや日々の活動記録だけを紹介している候補者も多々存在した。

・個々の細かい政策論議ではなく「持続可能な社会のヴィジョン」から全体像を体系的にとらえて叙述している候補者はほとんど存在しなかった。

 

 

 

 

■候補者の「環境政策アンケート回答」についての分析結果

 

<事務局による分析結果>

 

・個々の問題や政策に関する認識や理解の深さ、関心度という点で、回答によって大きな差がみられた。

・回答の中で論理的整合性(首尾一貫性)を欠いたものや、場当たり的な回答結果も多々みられた。

・日本が今後推進すべきエネルギーとして、ほとんどの回答が「太陽光」と「風力」を挙げていた。

・「予防原則」「RPS法(新エネルギー特措法)」「化審法」「REACH法案」などについて基本的に理解できている回答が非常に少なかった。

・「排出権取引制度」の中身や方法論(キャップなど)を理解できている回答が少なかった。

・日本共産党公認候補のアンケート回答はすべて一律ほぼ同じ回答で、政策の細部にわたり党内完全統一体制が敷かれていることに驚いた。

・環境問題について印象に残った作品として、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」を挙げていた回答が半数以上。

・モクタツ(京都議定書目標達成計画)の評価については保守系候補者が「一定の評価」、野党系議員は「評価できない」という回答に二分された。

・「核燃料サイクル」の評価についても同様、保守系候補者が「推進」、野党系議員は「中止も含めて検討」という回答に二分された。

・温暖化問題の解決方針として、保守系候補が「国民運動」「ライフスタイルの見直し」「技術開発」を強調しているのに対し、野党系候補は

 「環境税の導入や自然エネルギーの促進」など国内対策の推進を強調する回答が多かった。

・CDM(クリーン開発メカニズム)と「排出権取引制度」を混同している回答が結構存在した。

・「環境税の導入」に対しては「反対派」は存在しなかった。ただし導入に関しては「議論を踏まえて検討」という慎重回答が多くみられた。

・今話題の「バイオエタノール」の推進については、慎重派・推進派と党派を問わず候補者個人によってさまざまな回答結果の相違が示された。

・「3R」についても「発生抑制を排出抑制に優先させる」という基本が理解できていない回答も結構みられた。

・「持続可能な原料調達」の意味や背景が理解できない回答が多くみられた。

・共産党候補および一部の野党系候補からの回答を除き、「持続可能性」という考え方に首尾一貫して基づいている回答は見受けられなかった。

 

 

 

 

 

■エコロ・ジャパン代表による「総評&コメント」

 

  今回は「環境通知簿」をメインとして評価基準を試みたが、その配点が100%満足のいく公平なものであったとは断言はしない。が、ランキング上位候補に

ついては、ほぼ当初の予想どおりの結果が出たことから、項目を検索し数値化しても一定の傾向が示されることが証明できたものと自負している。

     全体として当初の予測どおり、今回の候補者全般にみられる傾向として、他の諸問題や諸政策に比して、環境問題一般に関する平均的な関心の薄さや取組み

     のなさが随所に証明された形となって現れている。

      たとえば今回のアンケート回答内容を分析してみても、候補者が一般にリオの地球サミット以降の流れで地球規模で進展している「環境と開発に関する

持続可能な社会のためのヴィジョン」についての先進的議論に対する基本的理解や知識不足がうかがえる。たとえば貧困や紛争、経済的グローバリゼーションと

環境問題との関連を指摘した国会質問やアンケート回答はほとんど皆無であったことからも、またLCAサイクルでみた場合の先進国と途上国の経済格差や

経済的グローバリゼーションが環境破壊を招いているという国際常識が欠落していることも窺わせられた。

おそらく政策的には環境問題に対する個々の断片的な知識を場当たり的に仕入れては質問したり勉強するといった形でしか対応できないのが現状である。

 

こうした傾向は国際性感覚の欠如、持続可能性の原則、予防原則や代替原則といったトータルなヴィジョンの中で個別政策を捉えることへの欠如、無理解が

背景にあると推測できる。 

      とりわけ地球温暖化対策については、あらゆる国において、先導して国内対策を先導させるのが政治家の役目であり責任であるのに、それを「ライフスタイル

の変革」や「国民運動の必要性」といった政治的責任の外部転嫁をしたり(市民やNGO、民間セクター側がそれを提唱するのであればまだしも)、日本お得意の

「科学技術開発」に頼ろうとする姿勢は、国家政策の屋台骨を担おうとする国会議員を志望する動機としては言い逃れ(責任回避姿勢)にしか聞こえない。

さらに環境税や国内排出権取引制度の導入には賛成だが、今緊急に必要な温暖化対策の具体的な制度設計についての話となると「十分に議論を尽くすべき」

「導入には慎重に検討すべき」といった他人事のような回答も目立った。すでに暴風雨や巨大台風、竜巻や洪水災害に見舞われている日本国内において、

この問題はもはやこれ以上十分時間をかけて議論を尽くしている時間的猶予などはないのである。

 

 これまでのキャリアから、本格的に在野で環境活動に取り組んできた候補者がほとんど存在していない。これは当該分野における人材不足であり課題である。

一方で今年のG8サミットでの温暖化問題で日本がリーダーシップを取れたように、環境政策自体は一種の点数稼ぎのポーズやファッションとして各政党の

マニフェストには明記されていても、議員中心・議会活動中心の日本の政党では、環境問題に関心の高い議員が少なければ、国会内で声もあまり通らず、

さまざまな政策の中で環境政策への優先順位が後手に回る可能性が高くなる。

そこで結論として、環境問題を深刻に捉える有権者・活動家は少なくとも、政党マニフェストよりも候補者個人のキャリアや関心度で投票すべきでないか。

もちろん環境問題だけが投票の唯一の判断材料ではない。ただし対処の緊急性や優先順位の極めて高い政治的課題であることには違いはない。

さらに環境分野といっても多方面にわたるので、読者自身がその中でもっとも関心度ないしは重要と考える政策について熱心に取り組んでいる候補者に

注目し、自分自身の投票行動に反映してほしい、というのが今回の率直な感想である。

 

 

 

 

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